小田原の小学校15校で、学校菜園をつくる計画があるそうです。
学校菜園とはどんな菜園なのか、それを考えるために
明日1月30日(日)『食のおだわら映像祭』が開催されました。
http://f-clca.blogspot.com/2011/01/130.html
小田原の小学校の先生をはじめとする学校関係者、ご父兄、
栄養士の先生など200名もの方々で会場はほぼ満席、関心の高さを感じました。
映像祭では、小田原の13の小学校で取り組んでいる栽培実習や
菜園活動を記録したショートムービーが上映されましたが、
それに合わせて、アメリカの先進的教育プログラムとして大きな成果を上げている
エディブル・スクールヤードのイメージビジュアルも上映されました。
このエディブル・スクールヤードでした。私の手がけた一冊の訳書
『食育菜園 エディブル・スクールヤード』をCLCA前会長の和田重宏先生が
取り上げてくださったことがそもそもの始まりでした。
当日は、エディブル・スクールヤードを記録した写真をもとに制作した
映像をご覧いただきましたが、
もうひとつ、エディブルの取り組みについて描いた優れた映像があるので
ご紹介したいと思います。
制作は、映画スターウォーズで知られるジョージ・ルーカス監督が
主宰する教育向けフィルムライブラリー『エデュトピア』。英語なので、
わかりにくいかもしれませんが、校庭の中にできた学校菜園(スクールガーデン)で
子どもたちが生物を、科学を、数学を、国語を、社会を、ガーデンで、キッチンで
身体と五感を使って生き生きと学んでいる様子を見ていただくことができます。
この映像の中で、世界的ベストセラー『タオ自然学』の著者フリッチョフ・カプラ博士
が登場し、菜園教育の必要と有効性について説いています。
実は、カプラ博士は、エディブル・スクールヤードの菜園教育プログラムの
土台を築き、今もその分野では第一人者として活躍されています。
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ここで、少し学校菜園についてお話したいと思います。
*
学校菜園は、世界的に広がりを見せている新たな教育手法です。
イギリス、フランス、イタリア、アメリカ、スウェーデン、ブラジル、
アフリカなどの国々において、ここ数年の間に実にさまざまな学校で
学校菜園づくりが始まっています。このムーブメントの背景にあるのは、
子どもたちの食の乱れによる健康被害、農薬や化学物質による
食の安全性への疑問や不安です。そして、そうした要因をつくったのは、
有史以来連綿と続いて来た、食と農という人の生きる営みの根幹を成すいのちのシステムが
たった50年(その前兆から観ると100年)の間に崩壊したことだといえるでしょう。
アメリカでは子どもたちの肥満や糖尿病、癌疾病の確率が年々高くなり、
深刻な社会問題として報告されています。その打開策のひとつとして
カリフォルニア州では、食育を学校教育の中の重要なカリキュラムとして位置づけ
それを担うもうひとつの教室として、学校菜園の導入を積極的に指導しています。
そのモデル・スクール・ガーデンとして全米から注目されているのが、
「エディブル・スクールヤード」です。
エディブル・スクールヤードは、カリフォルニア州バークレー市立マーティン・
ルーサー・キング・ジュニア中学校の校庭につくられた学校菜園で、
始まりは1995年にさかのぼります。
エディブルが生まれる前のキング中学校は、警察官が常駐するほど荒廃した学校でしたが、
エディブル・スクールヤードが生徒と教師の関係を根本的に変え、
ひいては地域コミュニティを変えるまでに成長していきます。
また、子どもたちの安全な食への関心、地元有機農業への興味と理解、
自然環境保全への意識を高めています。
現在カリフォルニア州では、幼稚園から大学までの6000校を越える学校に
学校菜園が生まれ、そこではさまざまな菜園学習が行われています。
*
小田原にまかれた学校菜園の種が、どのように育っていくのか、
とても楽しみです。そして、学校菜園がいのちのつながりを学ぶための
“もうひとつの教室”として、
学校に図書館があるように、理科室があるように、プールがあるように、
当たり前の感覚でなじんでいくことを願いたいと思います。そのためには、
たくさんの越えていかなければならないハードルがあると思いますが、
ひとつずつ、すこしずつ、でも確かな足取りで、
子どもたちの未来のために進んでいけたらと思います。
著書『食育菜園 エディブル・スクールヤード』の詳細については
以下のサイトまでアクセスしてください。本の内容の一部を公開しています。
http://www.pebble-studio.com/edibleschoolyard.htm
text by Hiroko Horiguchi. 1/29 2011